スケートボードを使用したスノーボードオフトレ Vol.07

堀之内 剛プロによる OFF TRAINING by Skateboard
Photography_@PSA-ASIA / @GOKATU / JUNKO OKAMURA(スノーボード写真)/ Gamichan(スケートボード写真)

CARVE Onlineでは、CARVINGを楽しむスノーボーダーに向けて、オフシーズンでのスケートボードを使ったオフトレーニングを連載コーナーで紹介します。堀之内 剛氏プロデュース企画!

名前:堀之内 剛(ほり)
JSBA/PSA-ASIA公認プロスノーボーダー
SUPAベーシックインストラクター
スポンサー・アンバサダー:SHARK ENERGY DRINK / YOROI-blp / VITORA / スノサウルス / Carving Master’s Craft / むねぐみ茶 / TFA / HEAVEN SKATEBOARDS / Zulu Wheels / モリスポ
スケートボードレース歴:2004
IGSA World Cup RED BULL Almabtreide Skateboard Down Hill(Germany)
Burnig Wheels Tour Board-X(Switzerland)
AJSA-TAC(日本スケートボード協会タイムアタックサーキット)国内サーキットを転戦中

 

スノーボードのオフトレについて

これまで毎月、色々とスケートボードによるオフトレを僕なりに伝えさせて頂きました。スノーボードのオフトレは、基本的に皆さんが楽しみながら、行うのが一番良いと考えます。例えば、スケートボードではなく、サップやサーフィン、ゴルフなど少しでもスノーボードに近い動きが有るスポーツは、違うと思う点もあるかと思いますが、共通点もあると思います。それが例え筋トレであっても、何かしらの影響がスノーボードに関わってくると感じます。ですので、「何がオフトレで、何がオフトレじゃないか?」は、個人の感覚で個人で意識できる事だと思います。雪の無い季節に、何をするかで、次のシーズンに必ず影響します。その点スケートボードのカービングは一番敷居が低く、そしてスラローム競技としても敷居が低く、アルペンスノーボードは、少し金額的に敷居が高いが、競技としては、連続ターンが出来れば誰でも参加できる敷居の低いスポーツと考えます。また、スケートボードスラロームを薦める理由としては、「誰でも出れる」「敷居が低い」「楽しめる」「人に伝えられる」という意味で、技術的にも非常にスノーボードに似ていると思い続けています。できれば、これを見ている皆さんもトライして、やっている事を仲間やお友達に伝えてもらいたいと思っています。

スケートボードと似ている点と違う点

①マテリアル
■違う点
スケートボードには、デッキ+ライザーパット+トラック+ブッシュ+ウィールがあり、ライザーパットの角度や硬さ、ブッシュの硬さ、ウィールの素材、硬さが滑走する際に主に影響する事が多い。多い。

■似ている点
スノーボードでは、そもそもマテリアルが違うのですが、ノーズの動きを大きくする事(チックタック)で、よりスノーボードに似た感覚を得ることが出来ます。

②技術的
■違う点
スケートボードでは、そもそも板は立ちません。イメージで言うと、スノーボードは、板を立ててサイドカーブでターンしますが、スケートボードでは、板を傾けると曲がります。その際の板は、傾け角度は浅いのが特徴で違う点でもあります。またターン弧は、スケートボードはスノーボードより浅く低速、スケートボードでは、基本的なセッティングとして、ボードがチックタックの動きを基本としたセッティングを行い、ノーズが大きな回転弧を描き、テールは小さい回転弧を抑えます(チックタック)が基本となり、トラックの角付け量が決まっていますので、スノーボードと違いスケートボードは板は立ちません。

■似ている点
スケートボードでは、板を傾けるとターンをしますが、そこはスノーボードと同じ事だと考えます。基本的に爪先、踵で板を切り返すことによりターンが出来ます。またターンでは、ターンをする場所、谷回り、山回りなど、スノーボードと同じ感覚を得ることが出来ます。またスケートボードの規制トレーニングでは、行きたい方向に行けるようになる練習は、スノーボードと同じです。必要なライン取りなどの技術力を身につける事が出来ます。

③トレーニングとして
スケートボードはスノーボードより反応が早く、爪先と踵の切り替え、上半身の動き、リカバリーなどの動き、そしてポジショニングなど、スノーボードの前シーズンの維持に役立つ上に、さらにそれ以上のトレーニングにもなります。更に、上半身が谷に向かって落ちるイメージを持つことが必要なので、スケートボーディングの楽しさとともに、スノーボーディングの楽しさもより感じられると思います。

 

 

フットブレーキは、絶対に必要

スケートボードをオフトレで始めると、プッシュはだいたい回りの人たちが教えてくれると思いますが、止まるのはどうしたら良いの?という方が多いです。まずスケートボードを使用しスノーボーダーが正しいレッスンや講習を行っているかを見極めるポイントとして、ヘルメット着用・プッシュ方法・止まり方を伝えているか?が大切になります。そしてスケートボードは、転んだら雪ではなくアスファルトなので、打ちどころ悪ければ大怪我に繋がりますので、危険回避の方法など、技術的レクチャーにおけるテクニックとしてプッシュ・止まるという事は絶対に必要な事です。「早く滑りたい!」という気持ちは少し我慢して頂き、プッシュと止まるという事を練習する事で、基本的に必要な技術力を身に付ける事が出来ます。
例えば、スノーボードでは、ボードコントロールをする練習として、スケーティングの練習を行いますが、スケートボードでもプッシュを練習する事で、ボードコントロールの練習をすることが出来ます。また前足と後ろ足の別々の動きの練習や前後の重心移動の練習もできます。安全面でのフットブレーキは絶対に必要で、それを長い時間練習する事で、スケートボードで滑走中のアクシデントに対応出来たり、危険回避が出来るようになり、技術的にも能力が高まります。

 

シーズン初めに意識する事

みなさんスノーボードが本格的にはじまったら、何を意識しますか? あくまでも個人的な意見ですが、自分は深いターンを心がけて、ビッテリーターンをたまにしながら練習しています。なぜなら深いターンやビッテリーターンは、スケートボードのオフトレでは出来ません、しかしながらスノーボードカービング技術向上において必要不可欠な方法です。

意識する部分
①谷回りで角付け量を強くしながら、上半身を雪面に近づける
②次のターンの始動部分は、その前の谷回りから始まる
③ボードに乗る位置は、後ろ寄り
個人的にですが、まず極端に深回りをします。少し慣れてきたら、更に深回りをします。そうなると、ほぼビッテリーターンに近づいてきます。これはスケートボードでは出来ないことで、シーズン初めにやっておかないと、板が立たないスケートボードの癖で滑ってしまいますので、ターン弧は非常に浅く、縦落ちのラインで滑ってしまいます。また縦落ちのカーブしないターンで滑走すると、ターン後半で板を横に向けて踏んでしまう事に繋がり、いわゆる下踏みとなって連続ターンをするのに非常に悪循環となります。ですので、なるべくシーズン初めは、より深いターンを意識し、ビッテリーターン含めて、なるべく下踏みをしない練習を行っています。これらをシーズンはじめに練習しておけば、あとはスケートボードでやってきた事が身体に染み付いていると思いますので効果を感じられるのではと思います。

 

第二回富士北麓スケートボードスラローム大会

今回は、富士吉田アクティブスポーツ少年団の代表で、カフェ&バーINTIを営むプロスノーボーダー鬼頭 功さん主催による大会が開催されました。またお手伝いとして黒木 誠プロが来場して頂けました。併催で無料の試乗体験会も実施し、そこでは初体験の方や試乗のお客さんなど、開催地でもある地元の少年や大人まで多くの参加者で賑わっていました。休憩時間には、地元のミュージシャンのラップグループのショーケースなど盛りだくさんのイベントでした。大会の方は、私、堀之内が担当。少しスロープだったのでロングスパンは2.1mとし、ビギナークラス30コーン、オープンクラス48コーン、スペシャルスラロームではオープンクラス36コーン、ビギナークラスは30コーンとなりました。今回よりオープンクラスのみコーンダウンは、コーン数の10%で失格を判断させて頂きました。
開催日当日の午前中は、なんと天気予報がはずれ、雨・・・。午後から晴れるという事でしたので、午前中は待機し午後からの大会に備え、皆さんで会話を楽しむ事となりました。午後より天気も皆さんの気持ちが伝わったのでしょうか? なんと回復し開催! 午前中、運動会で参加できなかった参加者もタイミングよく参加(ある意味晴れ男?)。この日は良い日になる事間違いないと実感しました。スペシャルスラロームでは、黒木 誠プロが前走、流石の滑りを披露して頂きました。
参加者の多くは、AJSA-TAC(日本スケートボード協会 タイムアタックサーキット)に参加している皆さんが殆どでしたが、飛び入り参加で、瀬在 駿成くんがビギナークラスで当日エントリーし、ロングスパン、スペシャルスラローム共に優勝! 瀬在 駿成くんは、スノーボードでも実績を残し非常に将来を期待されている選手の1人です。素晴らしい滑りでした。またスケートボード業界では、とても有名な「東北の寅」工藤 学さん(マリブ)が岩手より来場! 寝不足にも負けず、なんとスペシャルスラローム第三位という素晴らしい滑りを見させて頂きました。

今回のレースは、非常に子供たちが健闘しました。その中でも、オープンクラスに参加していた相良 悧空選手は、小学生ながら、ロングスパン三位・スペシャルスラローム準優勝と大健闘! 大人もびっくりするような滑りをし、今後非常に期待の持てる滑りをしていました。オープンクラスと言えば、やはり西谷 流星選手。彼の滑りは、この日初めてスケートボードスラロームを見た人は、とても感動して頂けたと思います。ピンクメガネと呼ばれていたのはココだけの話しなんですが、滑走スピードはもちろん、滑り方も洗練されてきており、世界で戦える選手に成長できているのではないでしょうか? オープンクラスのレベルも上がってきています。トップ選手はもちろん、その他の選手にしても基本的にスロープでのスラロームは、非常に難しいはずなのに、なんなくクリアしています。コースに関しては、少しスロープとあってハードな設定で行いましたが、皆さんの滑走技術からすると、もう少し難しくても良かったかな?と思ってしまうぐらい全体的なレベルアップが今回のレースで見れたことは、非常に今後のレースに役に立ったと感じました。
今回の大会は、スケートボードスラローム初参加の方が多く、その楽しさを体験して頂けました。今後もぜひ 参加し続けて頂けると幸いです。

第二回富士北麓スケートボードスラローム大会リザルト

種目:スペシャルスラローム
クラス:ビギナー
優勝:瀬在 駿成
準優勝:永野 将吾
第三位:鬼頭 亮太

クラス:オープンクラス
優勝:西谷 流星
準優勝:相良 悧空
第三位:工藤 学

種目:タイトスラローム、ロングスパン2.1m
クラス:ビギナー
優勝:瀬在 駿成
準優勝:鬼頭 亮太
第三位:沖田 秀俊

クラス:オープン
優勝:西谷 流星
準優勝:堀之内 剛
第三位:相良 悧空

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