BEHIND THE STORY ー オリンピアン、斯波正樹の現在 ー

何年にも渡り、1年の半分を世界で転戦し、ワールドカップで多くの実績を残してきた斯波正樹。平昌オリンピックで残してきた忘れ物を取りに現在ミラノ・コルティナ五輪を目指す。そんなオリンピアンの声を聞けることとなった。

Photography_Miha Matavz/FIS
Special thanks_富丘バオバブ保育園,Kentaro Yoshioka

Q
今現在(2024年10月下旬)はどんな活動をされていますでしょうか?

 10月中旬までスイスのサースフェーにて雪上合宿をしていました。11月からはカナダで雪上合宿、11月26日に中国へ移動し、30日からいよいよFISのワールドカップが開幕します。そこからはかなり忙しい大会スケジュールで3月下旬まで戦います。

Q
2023-2024シーズンは、FISツアーなどで良いリザルトを得られているかと思いますが、どんなシーズンだったのでしょう?

 2022-23年に自己最高となるFISのワールドカップで4位という結果を残すことができました。それを上回る結果を23-24では狙っていましたが、そこは叶わず、しかしながら、ワールドカップにおいて一本一本のタイムを抽出すると、かなりの数で一桁の順位がありましたので、全体的には自身のレベルの底上げが出来たシーズンでした。

Q
現在ミラノ・コルティナ五輪を目指しているかと思いますが、平昌五輪以降、これまでの時間はどのような時間でしたでしょうか?

 現役選手活動一筋で過ごしてきました。今も変わらないのですが、5月からの身体作り期間は週に3回のウエイトトレーニング、また週に600分の有酸素トレーニング(夏からはインターバルトレーニングも含む)を、それぞれ専門家の元適切な負荷で進めています。
また、一方で活動費の99%が自己負担で、多額の資金が必要となります。ですので、まずはご縁によって人柄の良い経営者の方々と知り合い、僕の人となりや活動に共感頂いた先にスポンサー契約をして頂いています。

Q
斯波さんは長く、ワールドおよびオリンピックと向きあっている選手だと思いますが、この長い期間を振り返って、辛かった記憶と自身を褒めるような記憶を一つずつ教えてください。

 まずは、辛かった経験から。日本人男子の中で、そのシーズン一番良いFISポイントを獲得して次のシーズンのワールドカップ追加枠を獲得した時でも、1~2度明確な理由なく全日本代表指定選手から外された時がありました。今思い返しても精神的にとても辛かったです。そんな時、左耳がいきなり聞こえなくなり耳鼻科にかかると突発性難聴と診断が出されました。今でも身体が疲れると、左耳の不調が現れるのでうまく付き合っています。
もう選手を辞めようか、と本気で考えました。ただ、そんな時に考えたことがあります。
1. 僕は誰のために、どこを向いて競技をしているのか。
2. 僕の強みは何なのか?
1の答えは、当時の僕を指定から外したスタッフの為に僕は競技をしているのではない。もしここで辞めたらその人たちの為に競技をしていることになる(=生きていることになる)、と考えました。そしてこの先の人生も、自分ではない人のせいにして決断をしていくことになってしまう、と考えました。
自問自答の中から、僕を応援してくれる人たち、見てくれている人たちが、「斯波正樹の頑張り」によって少しでも前向きな気持ちになったり、元気な気持ちになったりする為に競技人生を生きていると再確認できたので、現役を続ける決断をしました。
2の答えは、僕の強みはスノーボードが人よりも出来ることではないし、速いカービングが出来ることでもない。「諦めない気持ちと挑戦し続ける心」というこの2つの言葉だけだということを改めて再認識することが出来ました。今諦めたら、強みだと思っていた事が嘘になってしまう。そう考えました。
全日本代表から外されたことをきっかけに、もっと強固な土台を作り直して2018年の平昌オリンピックに出場したという想いから、2016-17シーズンからはスイス人の優秀なコーチに指導してもらい、基本練習を1から積み上げ、2017-18シーズンのオリンピック直直前くらいのワールドカップ@オーストリアで当時の自己最高となる6位を挙げ、オリンピック派遣基準を突破し、何とか平昌オリンピック出場が叶いました。
そして現在はもう一段階抽象度を上げて、自分は社会にとってどのような存在でありたいか、ということを明文化しました。それは「人々の夢と希望の星になる」という事です。
ピラミッドの頂点から書くと
A「人々の夢と希望の星になる」(その大きな目標を支えている考え方の土台となるのは自分の一番の強みは)↓
B「諦めない気持ちと挑戦し続ける心」(そしてその下に現在の活動=スノーボード競技を通して達成したい目標)↓
C「2026年イタリアミラノ・コルティナオリンピック金メダル獲得」
というように整ってきました。
このように明確に目標が整うと、自分でもビックリするくらい競技成績もスポンサー企業さまとのご縁もかなりのスピードで噛み合ってくるようになりました。
辛かった自分を褒めてあげるとしたら、あの時腐って辞める決断をせず、真に上を目指すマインドを獲得しようとポジティブに考えようとして、自分なりの答えを見い出せたことです。これは僕の人生にとって大きな財産です。

Q
これからスタートする2024-2025シーズンのご自身の中での目標をお教えください。

 順位の目標は、ワールドカップの表彰台を獲得することです。そして滑りについては、物理的に正しい重心移動をどんな斜面、どんな雪質、どんなコースセットにおいても、忠実に実行していくことです。

Q
最後に、カービングを楽しむ一般の方に向けたCARVEマガジンですが、そんな読者の皆さんにメッセージをお願いいたします。ありがとうございました。

 やはりハードパックされたゲレンデでのカービングは、言葉では説明出来ないほどの気持ち良さがあり、アドレナリンが出ますよね!(笑)  僕たちはみんな同じスノーボードアルペン愛好者。みんなこれからも末長く楽しくカービングしていきましょう(笑)

 

斯波 正樹
1986年4月26日、山形県山形市生まれ。9歳の時からスノーボードを始める。蔵王第二小学校・蔵王第一中学校・山形南高校卒業。2001年にイタリアで行なわれたISFジュニア世界選手権で優勝。高校を卒業後カナダ留学。合計4年間をカナダで過ごす。その後、国内では全日本選手権(2017-2018)優勝、世界ではカナダのワールドカップ(2022-2023)で歴代日本人男子最高位の4位を始め、多くの実績を残し続けている。オリンピックは2018年の平昌五輪男子パラレル大回転に出場。現在ミラノ・コルティナ五輪を目指して、 FISランキングも上昇中。

Website:https://masakishiba.jp/
Instagram:@masaki_shiba
Facebook:https://www.facebook.com/masaki.shiba.58
所属:富丘バオバブ保育園
スポンサー:株式会社置環、株式会社BLISS、緑町橋本歯科医院、江俣ささはら歯科クリニック、医療法人まつだ会カズデンタルオフィス、株式会社Calltech、沼澤歯科医院、阿部則裕法律事務所、音茶屋、医療法人社団笹原歯科医院、ゆうき総業株式会社、医療法人社団MSOまむろ歯科、YGT矯正歯科クリニック、花田珈琲焙煎室、株式会社高見屋旅館、RIZAPグループ株式会社、蔵王坊平アスリートビレッジ、大泉歯科医院、ALC snowboard、株式会社エムコレ、かいわ歯科クリニック、いわぬま歯科クリニック、Oxess snowboards、ABAND、Mountain slope、Actgear binding、Hayashiwax、Fullmarks、Ba2neインソール、Blackbriar、蔵王温泉スキー場、グローバルWiFi、スノーボードショップ UP-BEAT

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