山本 準也。昨シーズン、厚い壁となる選手が多く存在するテク選AL男子で初優勝を果たし、幼少の頃からの目標を達成した選手は、SAJ技術選でも3連覇を果たしていた山本隼也。ALCでもスノーボードと向き合う彼の声をお聞きした。


Q
まずは、これまでの選手としてのヒストリーをお教えください。
初めて出場した大会は、地元の小さな草レースでした。当時は家族で一緒に参加することが楽しかったのですが、次第に規制されたコースを滑ることに不自由さを感じるようになりました。そんな時に出会ったのが、当時JSBA全日本スノーボードテクニカル選手権大会(以下、テク選)で初優勝した末高敏樹選手でした。
誰よりも速く、深く、美しく滑る様に、私もテクニカルの世界に進みたいと思うようになりました。それから独学で自分のカービングを確立させ、公式戦から草大会まで様々な大会で優勝しました。そして13歳の冬、父と共にテク選に出場しました。初の全日本は37位と下位ながらも、全日本の雰囲気を肌で感じられたことが、私の選手人生に大きな影響を与えてくれました。15歳には全日本のテク選、全日本のレースでともに3位を獲得し、周囲からも来年こそは優勝と期待を送られましたが、自身のモチベーションの低下もあり、その後は低迷が続きました。
しかし大学卒業を機にALCに入社したことが優勝への王手であったと思います。これまでは滑走技術を磨くことが選手として最も取り組むべきことだと考えていましたが、入社をきっかけに翠川社長の道具へのこだわりや探求心を肌で感じ、自身の考えを改めることとなりました。今回の優勝は、独学によって築き上げた滑走技術と、自ら開発に携わった道具の造詣・完成度が組み合わさったことで成し遂げられたと思います。
Q
今回、テク選での優勝で感じたことを率直にお教えください。
スノーボードに熱中するきっかけとなった大会で勝ち、目標としていた末高選手を超えられたことは、今まで自分が取り組んできた練習や、ALCの技術者として道具開発の方向性が正しかったと自ら証明できたことです。同時に、SAJとJSBAの両団体で優勝を経験したことで自分が真の日本一であると自覚でき、とても感慨深かったです。
Q
SAJ技術選での実績も残されていますが、SAJ技術選とJSBAテク選の競技の違いや求められる滑りの違いなどで、感じていることをお教えください。
SAJ技術選では2021年から2023年まで3連覇しています。技術選とテク選はどちらも総合滑走能力を競うという点では同じですが、ジャッジの着眼点や競技種目に違いがあります。
着眼点に関しては、技術選では提示された種目を独自性の高い滑走技術によって表現した選手に高得点が与えられるのに対し、テク選では高効率な滑走技術(ライダーの入力≪板の運動量)に対して高得点が与えられる印象です。また競技種目に関しては、技術選ではフリーランを主としたものが多いのに対し、テク選ではビッテリーやショートウェーブなど広く深い滑走技術が求められる印象です。
このように必要な技術や表現力が異なることが、技術選で3連覇しても自分が日本一だと自覚できなかった理由でもあります。
Q
現在はALCに所属されていますが、実際の仕事内容や、ブランド&メーカーに所属して感じていることお教えください。
ALCでの主な業務内容は、アルミを加工する工作機械のプログラムの作成、新製品の発案、開発、設計、製品テストを行っています。自らが大会やプライベートで滑走する中で道具に付与したい機能や意匠を提案し、自ら試作・テストし、そして製品として世に送り出す…といった全ての行程に携わることができるのは、スノーボードメーカーの技術者兼選手だからこそできる、非常にやりがいのある仕事です。自分が関わった製品を気に入って下さったお客様の声を聞くことが仕事への意欲に繋がっています。
Q
それでは最後に、今後の目標などあればお教えください。
スノーボーダーとしては、初心者から上級者までの心を動かすようなカービングを身に着けることです。テク選連覇を含め、戦績は自ずと付いてくると思っています。
またALCの技術者としては、これからも多くの感動を与えられるような製品を生み出し、スノーボードをさらに楽しむためのお手伝いができればと思っています。
Profile
山本 隼也
岡山県出身。2000年生まれ。第31回JSBA全日本スノーボードテクニカル選手権大会、アルペン男子部門で優勝。恵まれたフィジカルに加え、高い技術と分析力に定評があり、2023年4月からALCスノーボードの開発にアベイル社員として携わっている。テクニカル分野の豊富な知識がフィードバックされた製品は2024-25シーズンから随時、ALCスノーボードよりリリースされる予定。
【BINDINGセッティング】スタンス:50cm、アングル:前60° 後55°、カントリフト:前トゥーアップ7&インカント4、後ヒールアップ7.5のみ。
