30回を迎えたテクニカル選手権。長い歴史を繋いできた大会への思い。


全日本テクニカル選手権大会(以下、テク選)は、1994年3月の第1回の開催以降、先シーズンの2023年2月の開催で記念すべき30回大会を迎えた。1982年日本スノーボード協会(以下、JSBA)発足後、1994年までに、すでに12回の全日本選手権大会の開催と8回のワールドカップの日本開催を実現していたJSBAが新たな一歩として踏み出したのがこの全日本テクニカル選手権のスタートであり、同時にデモンストレーター選考会(以下、デモ選)制度が開始された年でもある。この1994年は、日本のスノーボードの黎明期からスノーボードが市民権を獲得し、さらにメジャースポーツに足を踏み入れる頃でもあった。
そんな1994年のテク選&デモ選で、当時第1期のデモンストレーターに選ばれた木村聖子さんが、今回の記念すべき30回大会の競技委員長を務めた。選手時代から長い歴史を見続けてきた木村聖子さんと、同じく第1回大会出場され第9回大会からジャッジを続けてこられた副協議委員長の宮田めぐみさん、そしてこのテク選を長らく影で支えつづけてきた大会実行委員会でOC統括の内野政美さんに、今回の開催への想いを聞くことで、この30年の歴史の重みを感じて欲しい。
全日本テクニカル選手権大会。
記念すべき第30回にあたり。
第30回大会 競技委員長
木村 聖子さん
Q
今回、全日本スノーボードテクニカル選手権大会(以下、テク選)が30回記念を迎えました。どのような想いで迎えましたか? また、これまでの思い出、苦労話、そしてあらためてテク選の魅力をお教えください。
A
まず30年間に渡りテクニカル選手権大会が開催できましたことを、今までご協力、ご支援頂きました開催地・関係者の皆様に御礼申し上げます。ここ数年コロナ禍で事業を縮小してきたこともあり、今回久しぶりの「フルバージョン開催」を成功させなくてはならないという緊張感がありました。また私自身、1994年の記念すべき第1回目である尾瀬戸倉スキー場開催での優勝と第1期のデモンストレーターに任命され、人生の転機となった大会なのでとても感慨深いものがありました。
今回の大会前から「記憶に残るコト・歴史を辿るコト」として、どのように記念大会を迎えようか実行委員会で議論されました。その中で、大会前からテク選を話題にしてもらおうと企画し、記念Tシャツを現役及び歴代デモに予め配布してSNS上で盛り上げて頂きました。記念Tシャツのバックプリントに歴代開催地を載せたことで、それぞれの場面での記憶が蘇えったことと思います。今大会では、最終日の朝に大雪となり焦りましたが、ルスツリゾート様のご協力により急遽圧雪をして頂き大変助かりました。
テク選は、大会自体が3日間(準備を含めると5日~7日)の長丁場に及ぶので本部役員、現地スタッフの皆さんにはいつも多大なるご理解とご協力を頂いています。競技中は長時間屋外にいるため役員のトイレや休憩時間を少しでもとれるよう、昨年度から競技スケジュールを工夫しています。選手の皆さんにご理解いただけるとありがたいです。また構造物作成は雪質や量などにより思った通りにならないことの方が多いので、安全に競技ができるようにその都度手作業で調整しています(今大会も手作業入れました)。設営する現地スタッフの皆さんのご協力無しでは長丁場の運営は成り立ちません。
最後にテク選の魅力ですが、6種目を滑り切る体力と集中力の維持、コースや雪質・着眼ポイントの攻略など幅広い技術力と判断力が必要とされます。また選手間での激励もあり、個人戦でありながら選手・応援者が一体となって取り組んでいるところも魅力のひとつかと感じます。
第30回大会 副競技委員長
宮田 めぐみさん
Q
今回、全日本スノーボードテクニカル選手権大会(以下、テク選)が30回記念を迎えました。どのような想いで迎えましたか? また、これまでの思い出、苦労話、そしてあらためてテク選の魅力をお教えください。
A
まず感じたことは、30年という長い年月で選手として出場していた頃のことが走馬灯のように思い出されました。第1回大会から第8回大会まで出場し、第9回大会からは「ジャッジ」として運営側になり、ジャッジがいかに重要な役割であるかを改めて実感しました。ここ数年は、副競技委員長として、大会が円滑に運営できるように微力ながら携わらせて頂いております。そして今回は、競技委員長と2名体制で裏方をしなければならなかったため、選手が安全に滑走できる競技バーンの準備、競技役員への配慮など失敗がないように更に気を引き締めて運営させて頂きました。
自然の中で行う競技ですので、山の天候の急変には何回も苦戦してきました。特に、寒暖差で「ガス」が発生してしまうと、ジャッジ種目ですので選手の滑走が見えなくなってしまえばウエイティングするしかありません。その時は、時間との戦いになります。また、雨が降ったり、その後急激な気温の低下により競技バーンが危険な状況になり、競技バーンの変更などもありました。温暖化が進まないことを切に願います。
テク選の魅力は、基礎スノーボードにおけるカービングターンのスピード感や正確性を、指定されたバーンで自身のスキルを最大限発揮し表現して、それを評価してもらえるところですね。
第30回大会 大会実行委員会OC統括
内野 政美さん
Q
今回、全日本スノーボードテクニカル選手権大会(以下、テク選)が30回記念を迎えました。どのような想いで迎えましたか? また、これまでの思い出、苦労話、そしてあらためてテク選の魅力をお教えください。
A
コロナ禍の中で第30回となる本大会は、過去にご協力いただいた多くの方のご苦労に感謝しつつ、未来に繋がる大会となるよう「喜びと楽しさの実感」ができることをモットーに参加いたしました。しかし今思い返すと、あれこれと反省至極です。
とは言え、本大会では、ルスツリゾート様のご協力がとても大きな支えとなりました。直接的関係者は300人を優に超える競技を円滑に運営できたのは、運営役員皆さんのチームワークとルスツリゾート様のお力です。特に皆様をお迎えする気持ちを表していたのは、ノース入口に掲げられていた超巨大なウエルカムボードではないでしょうか。
そして、いつの間にか30回ですね。思い返せばあっという間の30回。尾瀬戸倉・黒姫高原・安比・田沢湖とテク選のお陰で全国各地へ赴くことができチョットした地方文化を知る機会でもありました。私は第2回目より役員参加でした。役職はゴール審判でしたが、当時はゴール審判は2名配置されており、相方は2代目教育本部長でもあり中部協会長でもあります吉原氏でした。初代教育本部長は関氏でした。僅かながらもお話をする機会がありました。いつも熱く仰っていたのは「スノーボードの発展普及には教育事業は必要不可欠です。丁寧に事業展開をしていきましょう」ということでした。そしてテクニカル選手権は日本独自の競技だが是非に世界に広めたいと仰っておりました。時が経ち、その思いは韓国及中国とのスノーボード交流にに繋がり、両国においてバッジテスト・テクニカル選手権選抜会開催まで成長いたしました。第30回大会会場ではインバウンド増という要素はありますが、大勢の外国人ボーダー・スキーヤーが熱心に観戦してくださいました。改めて、今あるテクニカルシーンを見て過去の苦労話は今や自慢話にしたいです。
今さらながら聞きたい!
テク選って、どんな大会?
Q
そもそもテク選って、どんな競技なのですか?
2023年現在、競技内容としては、まずアルパインカテゴリー(男女)とフリースタイルカテゴリーフリー(男女)に分かれています。競技種目は、アルパインカテゴリーが、以下の6種。フリーライディング、ロングターンカービング、ミドルターンカービング、ショートターンカービング、ビッテリー、制限滑走。フリースタイルカテゴリーが、ライディング、ロングターンカービング、ミドルターンカービング、ショートターンカービング、ビッテリー、グラウンドスタイルとなっています。各競技の総合成績で順位が決まる、総合滑走技術を競う大会です。
Q
テク選に参加するには、どうしたらいいですか?
JSBA会員であること、JSBA公式用品使用者であること、小学生以上、高校生以下はバッジ1級を保持していること、スポーツ障害保険加入者であること。以上を満たしていれば、誰でもエントリー可能です。各地方大会、学生大会に出場し、上位選手が全日本への参加資格を得られます。また前回大会上位シード選手と海外招待選手も参加資格があります。ちなみに全日本では、参加選手3名以上で作ったクラブ対抗にも追加で参加できます。
Q
各競技の競うポイントを教えてください。
詳しくは、テク選の公式サイトを参照いただきたいのですが、2023年大会の公表内容としては、「各種目ともに発展性と可能性を考え、滑りに制限を設けるような細かいジャッジングポイントの発表を控えております」となっています。そこでは、カービング種目共通ポイントとして、「スピードとキレを考えた効率の良いターン」と記されています。さらにコメントを抽出すると以下となります。
・フリーライディング(自由):スピードの中での流れの良い演技構成であること。また斜面変化に合わせた演技とターンを調和出来るかがポイント。トリックは、流れを途切れさせないスピードにのった演技を求める。
・フリーライディング(指定):スタートからゴールまでの一連の流れの中で、ビッテリー2ターン以上(トウサイド・ヒールサイド各1ターン以上)を組み入れて滑走する。スピードの中での流れの良い演技構成であること。ビッテリーはスピードに合わせた強い内傾軸を取ったポジションを求める。
・ロングターンカービング:スピードとキレを考えた効率の良いカービングターンを求める。
・ミドルターンカービング:約8~10mのふり幅、およそ圧雪車2台分くらいをミドルターンとする。スピードとキレを考えた効率の良いカービングターンを求める。
・ショートターンカービング(ウェーブ):指定エリアにウェーブを構築し、ショートターンカービングを行う。ウェーブにとらわれない一定のリズム・サイズを保ったキレの良いカービングターンを求める。
・グラウンドスタイル(FS指定種目):スタートからゴールまでの一連の流れの中で、トリック要素の演技を組み入れて滑走する。流れが途切れないように通常のターンをつなぐ中での滑走を求める。
・制限滑走(SL指定種目):競技種目のGSやSLのように、スタートからゴールまでのインターバル・ふり幅等が種目に合わせて設定されているのではなく、スタートからゴールまでのインターバルやふり幅が自由設定である。競技バーンに合わせてインターバルやふり幅が、時にはGSのようであったり、時にはSLのようであったりと、自由にミックスされたセットの中でタイムを競う種目である。タイムは滑走種目の得点平均をもとに換算される。
テクニカル選手権大会開催スキー場
第1回 尾瀬戸倉スキー場
第2回 尾瀬戸倉スキー場
第3回 尾瀬戸倉スキー場
第4回 尾瀬戸倉スキー場
第5回 尾瀬戸倉スキー場
第6回 木島平スキー場
第7回 ルスツリゾート
第8回 ルスツリゾート
第9回 ルスツリゾート
第10回 尾瀬戸倉スキー場
第11回 尾瀬戸倉スキー場
第12回 ルスツリゾート
第13回 ルスツリゾート
第14回 ルスツリゾート
第15回 ルスツリゾート
第16回 黒姫高原スノーパーク
第17回 黒姫高原スノーパーク
第18回 ルスツリゾート
第19回 ルスツリゾート
第20回 たざわ湖スキー場
第21回 たざわ湖スキー場
第22回 ルスツリゾート
第23回 ルスツリゾート
第24回 ルスツリゾート
第25回 よませ温泉スキー場
第26回 よませ温泉スキー場
第27回 安比高原スキー場
第28回 新型コロナウイルスの影響で中止
第29回 ルスツリゾート
第30回 ルスツリゾート
