BEHIND THE STORY ー 小川淳一郎。フィルムメーカーの想い ー

近年ニューリリース数が少なくなりつつあるスノーボードDVDの映像作品。そんな中で作品を作り続ける小川 淳一郎さんに、その想いとこれからをお聞きしました。

Photography_Gamichan,GTS<riding photo>

小川 淳一郎
1969126日、東京都生まれ。34891114JSBA公認デモンストレーター。元JSBA公認プロスノーボーダー。Jun Junスノーボードスクール 校長(旧猪苗代ミネロスノーボードスクール)。 23-24シーズンから星野リゾート ネコマ マウンテンへスクール拠点を移動。日本スノーボード協会が主催する全日本スノーボードテクニカル選手権は第2回大会から参加し、昨年の30回大会まで連続で出場。アルパインとフリースタイル両カテゴリーでデモ認定された日本で二人しかいない選手の1人。23-24シーズンも現役選手として全日本大会の連続出場を目指している。選手でありながらカメラを手に撮影編集し、34歳でカービングムービー『GTS Evolution』を発売。現在に至るまで撮ったライダーは、2023年初冬に発売予定のシリーズ18作目のGTS18380人を突破。Sponcer_MOSS SNOWBOARDSDEELUXEUNIONcoalSMITHMountain RockstarYOROIHEAVEN SKATEBOARDSOLDAWAXSHGKRYPTON POWERRIDEpatagoniaCARVE COMPANYTOLASMIK GLOVESSUPER feetFOOTLAB.

 

Q
小川さんが映像作品を残すようになった流れやきっかけを教えてください。

 まず自分のスノーボードとの出会いですが、僕は東京で生まれたんですが、最初サーフィンの冬用のウェットスーツを買おうと思って、蛍光色のステッカーがいっぱい貼ってあるお店にサーフショップだと思って、入ったところから始まります。入ったらサーフボードもウェットスーツも無くて、テレビには雪を滑ってる映像が流れていました。それが三鷹にあるエクスプロージョンさんでした。19歳の時です。
その後、24歳の時に勤めていた会社を辞め、本気でスノーボードやろうって思った時にエクスプロージョンの鈴川さんに紹介していただいたのが尾瀬戸倉でした。25歳でスノーボードスクールに所属して27歳でJSBAデモに認定されることになります。そこにはスノーボードが上手い人がいっぱいいて、いろいろ聞くと南半球のニュージーランドに行けば、夏も練習できるよって。その頃にニュージーランドで、久保くん(弊誌でもお世話になっているフォトグラファーのSAMさん)に出会いました。その頃、僕もカメラが好きで、記録的に撮っていたんですが、その写真を久保くんに渡したりしていたら、その写真をプロフィールに使ってメーカーと契約できたんだって後から報告してもらったりしました。その時の縁があったのかは分かりませんが、2018年のCARVEの表紙で久保くんが撮ってくれた僕の写真が採用されたのがすごい嬉しくて、本当に縁ってあるんだなって思っています。
映像を作ろうと思ったのはデモになってからですね。デモになって、あまり活躍する場がなかったのもあり、先輩の竹之内デモ、加藤デモと片品ローカルを撮影して製品化したのが一番最初です。最初のカービングムービー『GTS Evolution』を発売するのが、今から19年くらい前です。現在18作目なんですけど、3作目と4作目の間に僕がペンションを開業するために福島に行った時、映像作品を作るのを1年間お休みしてるんです。

Q
作品を作り続けてきての苦労話ってありますか?

 編集作業は、当時からもうデジタルになっていたのですが、最初の頃は、まだパソコンのスペックがなかったので、編集作業が終わって当時のDVテープに12週間も書き出せなくて苦労したりはしていました。その後も、やっぱり毎年色がおかしいとか、音がおかしいとか、やっぱり毎年何かしらのトラブルはあるんですよね。テストプレスも1回で済まなくて、2回、3回って検証版が来るんですけど、ここがダメだから直してくれって修正を繰り返し、リリース予定に間に合わないかもってヒヤヒヤすることばかりでした。だから毎年最終版が送られてきて、一人上映会でちゃんと見れた時に、やっと安心する感じですね。

Q
撮影時の苦労話や、撮影時の思うことなどあれば教えてください。

 撮影場所が限られてくるっていうのが一つありますね。映像が似てしまわないように、なるべく地形を活かしたり、カメラの位置を変えたりとか、雪が降っている中でも撮ったりとか、できる限りの工夫を重ねています。
それとやっぱり嬉しいのは、撮影の日が決まった時にライダーが前入りして練習してくれていたりするんですよ。そんな気持ちはいつも嬉しく思います。
 あと撮影だと一緒に23人くらいいるんですけど、その中でここのカットは自分がもらうぜ!みたいなライダー同士の勝負みたいなところもあります。例えば、滑走のバックに富士山が綺麗に写り込んでいるシーンをみんなが同じようには使えないので、基本的に一番良い所を良いタイミングで滑ったライダーの映像を選ぶことが多いですね。構図が一番大事になるカットでは、滑走が良いだけでは採用されないというドキドキもあります。基本的にはライダーはお互いを高め合いながら、そして技術をぶつけ合いながら滑走で会話を楽しんていますね。
 あと撮影していて思うのは、やっぱり抜けの正面ってベタだけど、かっこいいんですよね。撮影慣れしているライダーは、こちらが指定した場所をタイミング良くピンポイントでカメラの前を抜けていきます。

Q
撮影するライダーとのエピソードがあれば教えてください。

 撮影させてもらうライダーについては、基本的にはテクニカル系のトップ選手で魅力ある滑りをするライダーで縁があった方に声をかけさせてもらっています。SNSを中心に活動するのではなく、あくまでも全日本の上位選手にフォーカスを当てています。自分が長く選手をしていることもありますが、大会に出ているトップ選手のかっこいい映像を残していきたいですね。
 やはり長く上位に君臨しているライダーには、オーラじゃないですけど、独特の凄みというか迫力みたいなものがあるんですよね。そういったトップレベルのライダーは、ちょっとした仕草でさえやっぱり違うんですよね。
 全日本で初めて入賞した方や地区大会の上位者に声をかけることもあります。声をかける方々は、やはりオーラがあり、何か未来に向けて輝きを放っているように見えます。そんな方々はしっかり上位入賞の常連になり、デモなどのタイトルを取るのでGTSに出ると出世すると言われているようです(笑)。
 それと、どのように撮影をしているかと言うと、撮影の日程やライダーのスケジュールには限りがあるので、撮影を始めると1カットでも良いカットを残そうとスイッチが入り、朝から夕方までゲレンデに居ますね(笑)。夕日を入れたワンカットを撮りたいのになかなか日が傾かず、リフトが止まってからもハイクで撮影を続け、最終のパトロールが来てようやく切り上げたことも。
雪が良くノリノリで撮影させてもらった時には、気づいたら少しの休憩のみで一日中滑らせてしまって、ライダーはクタクタで、板をラックに忘れて帰ってしまったことなどもあります。
 午後に春雪で良いカットを撮るのが難しくなると、スキー場を離れてイメージカットを撮りに、何十キロも車を走らせたこともしばしばです。基本はリフト終了までまたは記録メディアがいっぱいになるまでなんです。なんだか年々一日の撮影時間が増えている感じがします(笑)。

Q
最新作については、どんなところが見どころでしょうか?そして本作品シリーズはどんな方に見ていただきたいですか?

 カービングが好きな全ての方に見てもらいたいですね。各ライダーのカービング滑走の動作を音楽にのせて奏でる映画のような世界観を楽しんでほしいと思います。スノーボードに出かける時に再生してテンション上げながら移動してもらえたら更に嬉しいですね。
参加ライダーはJSBA(日本スノーボード協会)、SAJ(日本スキー連盟)のデモンストレーター認定者やテクニカル系の大会で何度も上位入賞の経験があるトップのライダー達です。トップライダーの滑走を色々な角度から撮影した映像からは、各ライダーの滑走イメージを膨らませたり、技術を解析したりする楽しみ方もあります。また、毎年レベルアップしているライダー達の滑走を過去作品と比べて見るのも楽しみ方の1つかなと思います。
自分の過去作品を、毎年超えていくことが毎年の最大の目標なのですが、今年も過去作品を超えるものができたのではないかと思っています。ぜひ過去作品と合わせて見られた方は、どこかでお会いした際に感想をお聞かせください。

編集部から
DVDも弊誌CARVEのような雑誌も、近年はYoutubeやネットなどに役割を譲る部分も多いですが、それでも一枚のDVDや一冊の本にして残すことを続けさせていただいています。可能な限り続ける想いは変わらない。ぜひとも皆様のご支援をお願いしたい。

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